健康

先代黒猫くー、心筋症との闘いと最後の1年【体験談】

青い首輪をつけた黒猫くーのイラスト。胸には心臓のイラストが描かれ、文字で『先代猫くー 心筋症 闘病記』と書かれている

2024年5月29日、わたしの大切な黒猫くーは、8歳で虹の橋を渡りました。
朝までいつも通り元気に過ごしていたのに、突然の発作と下半身の麻痺…。
覚悟はしていたつもりでも、その瞬間が訪れると心はついていけません。

ここで少し説明をしておきます。
我が家には現在「黒猫くう」「キジトラのジジ」「長毛黒猫むー」の3匹がいますが、今回登場するのは 「黒猫くー」
むーを迎えてから3か月後に家族になった雄の黒猫で、当時生後3か月。
むーと同期です。

この記事では、その黒猫くーが心筋症と診断されてからの約1年間、どのように病気と向き合い、最後を迎えたのかを記録します。
同じ病気と暮らす猫ちゃんと飼い主さんに、少しでも参考になればと思います。

※この記事に書いた医学的な内容は、あくまで私の体験や主観に基づくものです。
症状や治療法は猫によって異なるため、必ず獣医師に相談してください。

心筋症発覚のきっかけ

それは 2023年、7歳になった頃 のこと。
おもちゃをくわえたときに突然「にゃっ!」と甲高い声を上げたくー。
歯が痛いのかなと思い病院へ連れて行ったのが、すべての始まりでした。

診断は「歯周病で抜歯が必要」。しかし術前検査で先生の顔色が曇り、聴診器から「心雑音」が聞こえると告げられます。
精密検査の結果は 心筋症。頭が真っ白になり、「まさかうちの子が…」と現実を受け入れられませんでした。

抜歯とセカンドオピニオン

歯が痛くてご飯が食べられず、どんどん痩せていくくー。
体重は5.3キロあったのが、あっという間に5キロを切るほどまで落ちてしまいました。
最初の病院では「心臓への負担を考えると麻酔下での抜歯はできない」と言われ、途方に暮れました。

藁をもつかむ思いで別の病院へセカンドオピニオンを求めると、リスクはあるが抜歯は可能とのこと。
痩せていく姿を見て迷う余地はなく、すぐに手術を決断します。

抜歯手術は無事に成功。
ご飯も痛みなく食べられるようになり、ほっと胸をなで下ろしました。
費用は約11万円。命に比べれば安いものです。

投薬と日常

抜歯によって食欲は戻りましたが、心筋症のケアはここからが本番です。
治療の柱となったのが ピモベハート(一般名:ピモベンダン) という薬。
1日2回の服用を続けながら、くーは普段どおりの生活を取り戻していきました。

ただその後、くーに特有の症状が見られます。

  • 安静時でも呼吸数が多め(1分間で35回ほど)
  • 前足にナックリングのような症状(片手を上げたまま地面につけられないことがある)

これらが心筋症と直接関係していたかは不明ですが、飼い主としては気になるサインでした。
それでもくーはいつも通り、甘えん坊で可愛らしい姿を見せてくれました。

ピモベハートについて

ピモベハート(ピモベンダン)は、心筋症や心不全の治療に使われる動物用医薬品です。

主な働き

  • 強心作用:心臓の収縮を助け、血液を送り出す力を高める
  • 血管拡張作用:血管を広げ、心臓への負担を減らす
  • 拡張能の改善:心臓が拡がって血液を受け入れる働きをサポートする

心臓の働きを助けることで血流が良くなり、結果的に血液の滞りを減らすことにもつながります。
ただし「抗血栓薬」のように直接血液をサラサラにする薬ではなく、血栓を完全に防げるわけではありません。

最期のとき

そして2024年5月29日。
わたしが留守にしていた間に、血栓が動脈に詰まり、下半身が麻痺してしまいました。
糞尿をまき散らしながら、恐らく痛みに耐え、それでも必死にわたしが帰るのを待ってくれていたのです。

発作が始まってからの出来事は本当にあっという間でした。
急いで救急病院に駆け込みましたが、「助からない」と宣告されます。
最後は自宅で見送ることを決断しました。

帰宅後のくーは、もう動けず、お気に入りの座布団の上にちょこんと座ったまま。
意識が残っているうちに知人が会いに来てくれ、くーはその存在をしっかり感じ取っているようでした。
その夜、私の腕の中で穏やかに息を引き取り、静かに虹の橋を渡っていきます。

その後もしばらくは、頭の中が整理できません。
「朝まで元気だったのに」という思いと、急変の早さを受け止めきれない喪失感に、しばらく心が揺れ続けました。

猫の心筋症について

猫の心筋症は進行するまで症状が分かりにくく、ある日突然発覚することも少なくありません。実際くーも歯周病の検査からの偶然の診断でした。

一般的に知られている症状
  • 呼吸が苦しそうになる(呼吸困難)
  • 息づかいが荒くなる、速くなる
  • 動脈血栓塞栓症による突然の麻痺(特に後ろ足)

※「咳」は犬ではよく見られますが、猫ではあまり多くなく、呼吸器疾患が原因のこともあります。

くーに見られた症状
  • 安静時でも呼吸数が多い(1分間に35回ほど)
  • 前足にナックリングのような歩行異常

すべての猫に当てはまるわけではありませんが、飼い主として小さな変化を見逃さず、気になることがあればすぐに病院へ相談することが大切です。

まとめ:くーへ、そして読者へ

くーちゃん、最後まで本当に頑張ったね。
病気があっても、ご飯を食べて、一緒に眠って、甘えて…普通の毎日を過ごせたことが何よりの宝物です。

心筋症はいつどうなるか分からない病気。
だからこそ「今日も一緒に過ごせる時間」を大切にすることが一番だと学びました。

もし今、同じ病気の猫ちゃんと暮らしている方がいたら、どうか後悔のないように、たくさん抱きしめてあげてください。

私は毎日、全力でむー、くう、ジジを愛しています。
こんなに悲しいなら飼わなければよかったと思う瞬間もありますが、それ以上に、くーは私たちにたくさんの癒しと喜びを与えてくれました。
くーのことを毎日思い出し、積み上げた思い出は本当の宝物です。本当にありがとう。